映画『人間失格』荒戸源次郎監督が語る、
主人公・葉蔵を取り巻く女たち/小池栄子(静子)編
太宰治による永遠のベストセラー、青春文学の金字塔と称される「人間失格」が、生田斗真を主演に迎え、荒戸源次郎監督によって完全映画化された。太宰が自己を投影させたとも言われる主人公 葉蔵、そして彼を取り巻く女たち。葉蔵をめぐる女たちの中でも唯一の子持ちで母親らしさをみせる静子を演じた小池栄子さんについて、そして 劇中の時代設定へのこだわりについて、荒戸監督に聞いた。
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(C)2009「人間失格」製作委員会
最初から女優さんのキャスティングは、面長、丸顔、小さい顔とか、見た目にバリエーションをつけようと留意しました。小池さんはベビーフェイスというわけではないけれど、肌が綺麗で目がパッチリしていて、エッジが立つなと思いました。とても美人ですしね。小池さんに演じてもらった静子は、登場人物の中でもとりわけ先端的な女性です。唯一、子持ちのキャリアウーマンの役ですしね。
割合、身体のラインが見えるような衣裳を着てもらったんですが、小池さんは知的で凛とした女性として静子を演じてくれました。小池さんの出演が決まる前から、いい女優さんだな、きちんとお芝居できる人だなという印象があったのですが、実際そうでしたね。小池さんのキャスティングは私ではないけれど、本当に良かったと思います。常連的な匂いが全然ないから、新鮮に映っていますしね。たまには他人の言うことを聞くもんだと痛感しています(笑)。
小池栄子(静子)
葉蔵に小さな幸せを実感させる、子持ちの未亡人、静子を演じる。
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Q 劇中の小道具など当時の時代をとても上手く再現されていますね。A そうかな?そう言っていただけると、嬉しいね(笑)。時代背景はないがしろにできませんからね。スタッフもよく調べてやってくれました。でも、もう少しやってみたい、もっと出来るんじゃないかと今だに思っています。
Q 例えば堀木(正雄)と(大庭)葉蔵が当時のラジオを聞いているシーンとか。ラジオの放送をそこに盛り込もうと思われたのは?
A 当時のメディアの最先端は、映画とラジオと蓄音機だから、登場するのは自然なことなんです。不忍池で葉蔵が絵を描いてるところに堀木が現れて…、というシーンがあるけれど、それは昭和11年の水温む頃という設定。
その数ヶ月前に2.26事件があったわけです。それから阿部定事件、夏にベルリン・オリンピックがあるんだけれど、そういう時代の空気を、映画ですから、画と音で表したいと思いました。クレジットなどで時代の説明をしたくなかったですし。
ラジオでベルリン・オリンピックの中継を聞いているシーンで言えば、ラジオ放送に雑音が入ってくるじゃないですか。そうすると堀木(伊勢谷友介)が、「電波が海を渡ってくるときの波の音だ」とか能書きを言って、若い芸者に「うるさい」とか叱られる(笑)。
実際に当時のラジオ放送は雑音が入っていて、「雑音のザーという音は海の音」説が頻繁に飛び交ったらしいです。けれど、あのオリンピック女子平泳ぎ200Mの放送の時には一切雑音が入らずに、実況のアナウンサーの声はとてもクリアに聞こえたそうですよ。そういったことまで、ひとつひとつを丁寧に全部調べました。
ただ、映画的な真実を獲得するために、事実を踏まえた上で敢えて虚構を作ったんです。当時を生きている葉蔵や堀木が、あそこでああやって、オリンピック中継を聞いてたらどうか。調子のいい堀木は一緒になって盛り上がるだろうし、葉蔵も最初はそれに任せているのだけど、段々輪の中から外れて一人で佇んでいるんだろうな、とか考えるわけです。
若い人たちには、細かいところは分からないかもしれない。私だって、もちろん昭和11年はリアルタイムではないよ(笑)。でも分からなくたって、何かを感じれば良いんじゃないかな。そうなるよう、心を砕いて作ったつもりです。
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2月20日(土)全国ロードショー「人間失格」
http://ns-movie.jp/
CAST/生田斗真 伊勢谷友介 寺島しのぶ 石原さとみ 小池栄子 坂井真紀 森田 剛 石橋蓮司 室井滋 大楠道代 三田佳子 他

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